夜泣く!噂のバンギャルラ 【k】



カフカです。よろしくどうぞ。



突然ですが、バンギャルって彼氏が出来ると夜泣きますね。

大好きな人が出来て、なんと他でもない彼が私を好きだと言って。運命的に結ばれた奇跡のような2人。
古今東西余すところなくそうかは知らないけれど、2014年のこの国じゃあ、男女2人によるラブストーリーの めでたしめでたしの後には、ほとんどの場合楽しい楽しい半同棲生活が幕を開けるじゃないですか。

すると摩訶不思議。
ある日突然、愛する人が隣に寝ている夢のような生活にアレルギー反応を示してバンギャルは、恐慌状態に陥るのです。

それは例えば毎晩、彼が死ぬ夢・逮捕される夢(ハタチ前後のバンギャルの彼氏はなぜかそこそこの確率で逮捕される)・去る夢・実は既婚者だった夢等あらん限りの与太悪夢をローテーションで観るようになるからなのかもしれないですね。
けれどそんなのは諸症状の一例に過ぎなくて、根っこはきっと自身の中にある、人生の不条理を「誰かに何とかしてもらおう」という “甘え" こそが病魔なのだと思うんですよ。あくまで、カフカは。ですけども。

いつか運命の人が!とかロマンチスト全開だったバンギャルに訪れた十全を、せせら笑うように手を替え品を替え 繰り返される夢の中での喪失。

お互い意思を持った人間同士での関係は、なにもこちらが一方的に手に入れたようなものではないから!今ある環境を大切にできずになくすことばかり恐れるのはちがうんじゃないの?ねぇ!と己に言い聞かせてはみても、いく度となく襲い来る最悪の寝覚めは日々激化の一途を辿ります。彼氏、死にっぱなし。

こうなれば、寝苦しいどころの話ではとっくにない。

眠れないのを隠す為にトイレにこもって、呆然としてみたり思い出したように泣いてみたり途方に暮れている内に、そういえばうちの母親も夜中に起き出しては一人居間で椅子にもたれ掛かかり喘息症状を慰めていたな。なんてピンと来ては、畜生、遺伝か。ママン、そりゃないぜ。と過呼吸を慰めている内に空は白んでいる訳です。

そろそろまずいかしら。とボチボチ部屋へ戻るとさすがに気付いていた唯一無二の彼氏が、
「どうした?へいき?」なんて宥めすかしてくれるものだからおずおずとお布団に収まるも、勝手に溢れ出す涙は滂沱。
脳内で京さんが、声殺して目を塞いで 闇に溺れて彷徨って!と狂ったようにイカした様子で歌い上げるのに聴き入っているうちに、目の下にクマを作って唇の荒れた バカだけど幸せになりたい女 は「病院に行け」と愛する男から白い目で見られるようになりますね。
こんなにもっともな半ギレはなかなか見れるものじゃないな。

そうね。貴方のストレスはもっともだと思うの。
でもね?ごめんなさい。この後に及んで反論しますよ。ちょっと聞いてくれますか。
病院に行けば、つくと思うんですよ病名が。もはや半狂乱ですから。
だけどわかって欲しい。
よく間違えられますが、我々べつに、構って欲しくてこうなってる訳じゃないんで、病人になりたいわけじゃないんです。
幸せになりたいだけなんです。

病院と幸せ ってなんか遠いじゃないですか。
だから、結構です。がんばります。
「なんで?」って聞かれてもなんですかね。 直感です。ヒラに申し訳ない、ヒラに。

だって狂愛主義の下、バンドマンさんに笑顔で全面降伏して、重い愛で持て囃すことを趣味としている我々が。
手を伸ばせば届く距離の人のことを好きになるなんてこと、人生に何回もあることではなくて。
なにより自分1人の時はここまで感情を持て余すことはないので、これが一体なにへの絶望なのか、失望なのか、畏怖なのか、検討もつかんのです。

わからないなりに無理やり理屈づけすれば。
もしかしたら我々は、彼と共にあることで齎されていた無痛状態に慣れ切って来ているのが恐ろしいのではないかと。
蜜月中はといえば、指を繋ぐだけで互いを隔てる皮膚一枚さえ通り抜けて愛する人と自分が甘くとろけ合うようで。
だから私は、彼越しの私が世界で一番可愛い生き物に思えていましたし。
惜しみなく愛情を注いでくれる彼のおかげで、アドレナリン、エンドルフィン、脳内鎮痛成分がありったけ出血大放出だったものですから。
苦手な上司にも酔っ払いの痴漢にも、返却忘れていたDVDにだって、傷一つつけられることもなく、まさにこの世の春を謳歌していました。
ゲージ満タンまさに無双状態。

そしてはたと気づくのです。
これが、切れた時。
その時は、予め自ら背負い込んでいた世の不条理にまた身をやつすことになるのかと。
ピリピリと自身を蝕む、疲労感や屈辱にまた身を投げることになるのが恐ろしくなる訳です。

それを、あろうことか。
私がこんなにしんどいのは鎮痛剤を取り上げたお前のせいだろうがと。
知ってるんだぜお前アレを持ってるんだろう?それがねぇとアタイはもう堪らねぇんだよ、散々それに慣れさせておいて今更トンズラかますなんて許さないんだぜ…!
とばかりに必死のパッチで彼に取りすがって もっともっと愛してください!と取り乱すのがおっかねぇのですよ。

だからそれは幼子の頃の夜泣きと一緒。
当時だってなんか不安で押し潰されそうな胸中から膿を絞り出すように、全身がジンジン痺れてやまないほど泣き声を張り上げていた。ような。気がするけど。さっぱりんこ覚えてはいないです。

つまり大丈夫。ぜんぜん平気。
だってとんでもないことに まだ何も起きていないから。

だけどこうも続けば、やがて音を上げるのは可哀想に愛する彼氏の方で。
何でもない。大丈夫。マジで、全然平気。ただ、出来れば寝室がべつにほしいかな。
なんて 血走った 妙に鋭い目つきの狂女が弁解しても、何のフォローにもなってない。まいった。

足りない睡眠の果てについに体調と理性が崩れるのは、さすがに言い合いも耐えなくなっている数週間から数ヶ月…恐ろしいことに数年後。
我々の口をついて出る、
「帰るわ。」
もしくは
「出てって貰えませんか。」
=お別れのご挨拶と相成るわけですが。

お別れの後のセメダインで張り付いていた生身の皮膚同士を力任せに引き千切ったような失恋の傷手にも慣れて、やがて完治した後のさ、お一人様ライフが完璧すぎて。孤独をこじらせちゃってるのがバンギャルなんだと思います。


依存症真っ只中だと特に忘れがちですが、
貴女がどれほど理不尽なコンプレックスに苛まれていようがそれは誰のせいでもないんですなー。

実は仕事以外の時間は ご自宅で、この世の醜悪さをかき集めてチンした みたいなオジサンに性奴隷として飼育されていて、外出時以外は服を着ることも許されていない環境下、夜な夜な腐った匂いの呼気を吹きかけられて異臭のする舌を這わされるのを、感度と思考のスイッチを切ってただぼおっと媚びて笑って慰み者に徹してやり過ごすことしか出来ない可哀想な可哀想な女の子だとしても。

私の人生 いつかどなたかが助けてくださるなんて甘い夢をみててもしょーがない。
諦めましょう。私の人生、私だけのものです。

この諦めこそが唯一無二の解決策のように思われる諸症状。
断言します。彼氏が誰であろうと関係なく出るこの症状に、彼氏個人の性質は一切関係ありません。
彼氏 イズ そんなに悪くない。

例え彼が一般倫理に反する行動が目立つ人だったにせよ、その人を選んだのは自分のセンスです。
センスは倫理みたく後付け出来ません。
心ときめく恋するスイッチは各個フルオーダーの一生ものですから諦めましょう。

夜中目覚めたら知らん内に、巨大な毒虫、少女怪獣になっていたバンギャルは、彼氏の隣ではただただ泣いて泣いて泣いて泣いて 寂しさに泣きはらすことしかできません。

しかしそんな我々だからこそ、ステージにいらっしゃる方々のことを すごく すごーく好きになることが出来るじゃないか。
偶像崇拝が出来るじゃないか。
胸の内に渦巻く邪悪なまでに重いこの想いだって、ライブ会場にて放出する分には、マナーさえ守れば誰にも咎められることはないのです。

見えた!そうだ!ライブに行こう!
Yes Yes We are THE バンギャル イズ 最高。

さて。
ここまで読んではみたものの、苦痛でしかなかった。ちょっとこの人何いってるかわからない。ただただこえーわって人。
あなたはとっても健康です。
逆に。よくこんな記事見つけたな?大したもんです。
これから先もあなたの前途にあらん限りの笑顔が咲き誇りますよう お祈りしています。

めっちゃわかるよ 何お前。私?と言う人。
あなたの頭とんでもなくおかしいです。ちょっとしんぱい。
ですがあなたは、ステージの上のバンドマン様を仰ぎ、心行くまで心酔してさえいれば、生身の素人さんに期待と迷惑をかけることをやめ、場合によっては愛しい人と適正な距離感で睦み合うことさえできる、健常者のフリができますね。

だから今こそ それ見たことか レッツ バンギャルちゃん!

よろしければ貴女も、えんそくライブで一緒に、“その命令は絶対だ!”つって拳を突き上げ 暴発しそうな 頭を振って たまにボイオイ叫び、世の不条理への不満を霧散させしませんか。
なんだこの記事。
なんでえんそく。
だってえんそくさん、少なくともぶぅさんは、歌詞を読む限り、この点のバンギャルのどうしようも無さに、ある一定の理解を示してくれている上で、何とかしてやろうという姿勢を取っている稀有で奇特なバンドマンさんだと思うんですなー。


http://rocklyric.jp/lyric.php?sid=146098/夜泣く!!噂の赤んぼ少女/えんそく


我々の根が深いネガティブ思考は、白馬の王子様の出現じゃあ かき消えないです。
いつだって自分の面倒は自分でみるしかないし。
人間は他人に影響なんて及ぼせませんが。

憂鬱と同様、ご機嫌だって連鎖するじゃないですか。

ご機嫌でいましょう。

笑う少女怪獣より強いものなど、
この世にないと思いませんか。